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脂漏性皮膚炎

脂漏性皮膚炎は、皮脂分泌が活発な部位で繰り返し発生し、慢性的な皮膚の炎症を引き起こす疾患です。鼻横のシワ(鼻唇溝)、鼻周り、眉間、眉毛、頭皮などが特に影響を受け、赤みやフケ、かゆみが現れる特徴があります。脂漏性皮膚炎は完治が難しく、数十年にわたって症状と向き合う必要があるかもしれません。患者さんにとっては、良くなったり悪化したりを繰り返すため、非常に苦しい状況と言えます。当ホームページをご覧いただき、少しでもお役に立てればと思います。

 

原因

脂漏性皮膚炎は、マラセチアと呼ばれるカビ菌が生成する物質に対して肌が過敏反応を起こし、炎症が生じることが原因とされています。このカビ菌は、人々の皮膚に普遍的に存在しているものであり、不潔さが原因で発症するわけではありません。脂漏性皮膚炎はアレルギーによるものではなく、炎症が引き起こされるため、誰にでも発症する可能性があります。

患者さんの中では男性の方が多いとされており、特に赤ちゃんと思春期以降の2つの世代で発症しやすいとされています。赤ちゃんの場合、生後2〜4週から始まり、生後8〜12ヶ月で自然に症状が改善する傾向があります。

成人の方においては、年齢に幅がありますが、3〜40代が発症のピークであり、全体的な有病率は約3%と言われています。また、理由ははっきりしませんが、HIV感染者やパーキンソン病など神経系の疾患を抱えている人々に発症しやすいとされています。竹の塚エリアにございます当院では、「脂漏性皮膚炎」に関する情報を提供し、皆さまのお役に立てるよう努めています。

 

増悪因子

脂漏性皮膚炎は、ストレスの増加や寒冷な冬季など、冷たくて乾燥した環境下で悪化しやすい傾向があります。また、リチウムやインターフェロンなどの薬を使用している人々においても、症状の悪化が報告されています。ストレスや気候の影響は、脂漏性皮膚炎の発症や悪化に関連していると考えられています。ストレスが増加すると、自律神経のバランスが崩れ、皮脂分泌が増加することがあります。また、冷たくて乾燥した季節では、皮膚の保湿が困難となり、炎症が生じやすくなります。さらに、リチウムやインターフェロンなどの薬物は、皮脂分泌に影響を及ぼし、脂漏性皮膚炎の症状を悪化させる可能性があります。

症状

脂漏性皮膚炎は通常、頭皮、耳、顔の中央部、胸、眉間など、皮脂分泌が多い部位に発症することがあります。特に頭皮は脂漏性皮膚炎の代表的な発症部位であり、症状としてはフケやかゆみが現れます。重症な場合には頭部が黄色く油性の鱗のような皮で覆われることもあります。また、病変は耳の後ろまで広がり、耳に亀裂が生じることもあります。顔の場合には髪の生え際より下の額や眉毛、眉間、鼻の下の溝(鼻唇溝)に発症しやすく、頬にも広がることがあります。男性では口ひげやあごひげの部分にも症状が出ることがありますが、ひげを剃ることで治療や病気の管理に役立つこともあります。目の周囲にも発症することがあり、脂漏性皮膚炎の唯一の症状となることもあります。体の他の部位では、わき、乳房下、へそ、生殖器領域などにも発生することがあります。成人の場合、かゆみがよく出ますが、赤ちゃんの場合は通常かゆみがありません。

脂漏性皮膚炎と間違えやすい病気に「しゅさ」があります。しゅさは原因がはっきりしていない皮膚の病気で、皮膚の免疫システムの異常により赤くなると言われています。両者とも顔に赤みが現れますが、脂漏性皮膚炎は特に皮脂分泌が多い鼻の横や先端、眉毛や眉間、顎に発症しやすい傾向があります。

治療

塗り薬

脂漏性皮膚炎の治療には、ステロイドの塗り薬と抗真菌薬の使用が一般的です。炎症が強い場合は、両方の薬をしっかりと塗布して治療を行います。炎症が落ち着いた後は、抗真菌薬の使用を中止します。その後、一定期間はステロイドの塗り薬を継続的に使用しますが、使用頻度やステロイドの強さを徐々に減らしていきます。炎症が再発せずに安定した状態が続く場合には、徐々に使用を中止していくことが適切です。急に中止すると再発する可能性があるため、段階的に減量することが必要です。また、ステロイドと同等の効果がある別の塗り薬も選択肢として存在し、ステロイドに不安がある方にはそれらの使用も考慮できます。

漢方

漢方薬は、皮膚の毛穴に炎症を起こした場合に使用されることがあります。十味敗毒湯や荊防敗毒散などが一例ですが、漢方薬の使用には強力な科学的根拠が示されているわけではありません。したがって、炎症が重篤な場合や辛い症状がある場合に主に使用され、全ての患者さんに一律に処方されるわけではありません。漢方薬の使用は他の漢方薬と併用されることもありますが、個別の症例に応じて判断されるべきです。

 

よくある質問について

他の人に感染することはありますか?

脂漏性皮膚炎は人にうつることはありません。誰もが持っているカビ菌の作る物質のせいで皮膚に炎症が起こっているのです。

脂漏性皮膚炎の市販薬はありますか?

弱めのステロイドの市販薬はありますが、なかなか有効な市販薬は現在のところはありません。しっかりとした強めのステロイドや抗真菌薬が必要になりますので、早めにクリニックで診察を受けましょう。

適切なシャンプーはありますか?

抗真菌薬の入ったシャンプーが市販で販売されていますので、できれば普段からそちらを使っていただく方が再発防止に良いと思います。1ヶ月ほど使っても効果を実感できなければ、別のシャンプーを試してみましょう。

適切な化粧品はありますか?

化粧品は刺激が低いものを使うようにしましょう。紫外線を浴びないよう日焼け止めを使うのも良いです。また、カビ菌をやっつけるためにアルコール消毒を顔に塗るのはやめましょう。アルコールの刺激で肌が悪化することがありますので。

適切な洗顔方法はありますか?

洗顔は皮脂が多い方用の洗顔料を用いて毎日しっかり泡立てて行いましょう。あえてスクラブが入っているものを使う必要はありません。また、洗顔後は保湿をするようにしましょう。

適切な食事はどういったものでしょうか?

どういった食事が脂漏性皮膚炎予防に良いかは明確にはまだ証明された論文はありません。ある論文では、フルーツをたくさん取ると脂漏性皮膚炎再発予防に良いというものはありましたが、まだ根拠は弱いものです。

完治しないのでしょうか?

脂漏性皮膚炎は慢性的に良くなったり悪化したりを繰り返すため、完治は難しい病気です。しかし、適切なステロイドや抗真菌薬の使用とスキンケアを注意深く行うことで、症状を落ち着かせることができます。

 

当院でも多くの脂漏性皮膚炎の患者様を診察しております。この病気は長期にわたる治療が必要であり、患者様にとって非常に辛い病気です。何かご不安な点があれば、ぜひ竹ノ塚駅東口から徒歩3分にございます当院でご相談ください。

 

参考資料

American Academy of Dermatology

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