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「フルミスト」を徹底解説

[2025.11.13]

注射が苦手な方へ朗報!鼻から接種するインフルエンザワクチン「フルミスト」を徹底解説

1. はじめに:今年のインフルエンザ対策、新しい選択肢が増えました

インフルエンザの流行シーズンが近づいてきました。予防策の基本はワクチン接種ですが、従来の注射(不活化ワクチン)が苦手なお子さんや、注射に強い抵抗感をお持ちの方も少なくないでしょう。

そのような方々にとって、2024/2025シーズンから日本でも新しい選択肢が加わりました。それが、注射を使わずに鼻からスプレーで接種するインフルエンザワクチン「フルミスト®︎点鼻液」です。

この記事では、小児科医・感染症専門医の立場から、フルミストの特徴やメリット、注意点などを、患者さんやご家族の皆様に分かりやすく解説します。

2. 「フルミスト」とは?鼻からスプレーする新しいタイプのワクチン

フルミストは、「弱毒生インフルエンザワクチン(じゃくどくなまインフルエンザワクチン)」と呼ばれる種類のワクチンです。その最大の特徴は、注射器を使わず、専用の器具で鼻の中に薬液をスプレーして接種する点にあります。

そのため、注射針を刺す痛みは一切ありません。

日本では2023年3月に製造販売が承認され、2歳以上19歳未満の方を対象として使用されます。

3. フルミストの嬉しいメリット:なぜ「鼻から」が良いの?

フルミストには、従来の注射ワクチンにはない、いくつかの優れた点があります。

  • メリット1:なんといっても「痛くない!」 注射がないことは、フルミスト最大のメリットです。特に注射が苦手なお子さんにとって、接種時の恐怖や痛みといった心理的・身体的な負担を大幅に軽減できます。
  • メリット2:ウイルスが侵入する「鼻」で直接免疫をつける インフルエンザウイルスは、主に鼻や喉の粘膜から体内に侵入します。フルミストは、ウイルスの入り口である鼻の粘膜に直接働きかけ、自然感染に近い形でIgA抗体を中心とした局所免疫を強力に誘導します。
  • メリット3:原則「1シーズン1回」で完了 国内で承認されている用法では、フルミストは対象年齢(2歳以上19歳未満)であれば、1シーズンに1回(合計0.2mLを左右の鼻に0.1mLずつ)の接種で完了します。

4. 従来の注射ワクチンとフルミストの違いを比べてみよう

フルミストと従来の注射ワクチン(インフルエンザHAワクチン)の主な違いを、分かりやすく表にまとめました。

特徴

フルミスト(経鼻ワクチン)

従来の注射(不活化ワクチン)

接種方法

鼻の中にスプレー

腕などに注射

痛み

なし

注射の痛みがある

対象年齢(国内)

2歳以上19歳未満

生後6か月以上

接種回数(国内)

1シーズンに1回

年齢や接種歴により1回または2回

費用

4,200円(足立区補助で1,200円)

8,800円(足立区補助で2,800円)

5. 効果と副反応について

効果はどちらが優れている?

日本小児科学会は、現時点ではフルミストと従来の不活化ワクチンの間で、インフルエンザ予防効果に明確な優劣は確認されていないとしています。そのため、2歳から19歳未満の方に対しては、どちらのワクチンも同等に推奨されており、ご本人やご家族の希望に応じて選択することが可能です。

どんな副反応がある?

国内の臨床試験で報告されたフルミストの主な副反応は以下の通りです。

  • 鼻閉・鼻漏(鼻づまり・鼻水):59.2%
  • 咳嗽(せき)
  • 口腔咽頭痛(のどの痛み)

最も多い副反応は鼻づまりや鼻水で、その他に発熱や頭痛などがみられることもありますが、その多くは軽度です。従来の注射ワクチンで主な副反応が接種部位の痛みや腫れであるのに対し、フルミストは鼻の症状が中心となるのが特徴です。

6. フルミストを接種できる⼈・できない⼈【必ずご確認ください】

フルミストは誰でも接種できるわけではありません。安全に接種していただくために、以下の点について必ずご確認ください。

接種の対象となる方

  • 2歳以上19歳未満の健康な方

接種ができない方(主な例)

  • 2歳未満のお子さんや19歳以上の方
  • 妊娠している方
  • 免疫機能に異常のある方や、免疫を抑える治療(ステロイドの大量投与など)を受けている方
  • 本ワクチンの成分によって重いアレルギー反応(アナフィラキシー)を起こしたことがある方

接種に注意が必要な方(医師への相談を)

以下に該当する方は、接種前に必ず医師に相談してください。

  • 重度の喘息をお持ちの方や、現在ぜんそく発作(喘鳴)の症状がある方
  • ゼラチンや鶏卵、鶏肉などにアレルギーがある方
  • 授乳中の方
  • ご家族など、周りに重度の免疫不全(移植後など)の方がいる場合 これは、接種後数週間(特に最初の数日間)は、ワクチンウイルスが鼻から排出される可能性があるためです。

7. まとめ:インフルエンザ予防の新しい選択肢として

フルミストは、注射の痛みがなく、ウイルスの侵入口である鼻に直接免疫をつけることができる、2歳から19歳未満の方のための新しいインフルエンザワクチンです。

注射が苦手なお子さんや、ご自身にとって、予防接種の負担を減らす有効な選択肢となる可能性があります。今年のインフルエンザ対策として、フルミストがご自身やお子さんに適しているかどうか、ぜひかかりつけの医師や小児科医にご相談ください。

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