【医師が解説】マンジャロの吐き気・下痢はいつまで続く?つらくならない進め方と対処法
「先生、マンジャロを始めてみたいんです。でも、SNSで『吐き気がつらくてやめた』という書き込みを見て、怖くなってしまって……」
マンジャロ®(チルゼパチド)の説明をすると、外来でこうした相談を毎週のように受けます。竹ノ塚駅前クリニック院長の中島義之です。
結論から言います。マンジャロの吐き気や下痢は、出やすい時期がほぼ決まっていて、その多くは数日〜2週間、長くても2〜4週間ほどで落ち着いていく傾向があります。そして、どうすればつらさを小さくできるかは、外来で多くの方を診てきた経験上、かなりはっきりしています。大規模臨床試験で副作用を理由に治療を中止した方は、15〜20人に1人ほどでした。
ただし、ひとつだけ先にお伝えします。激しい腹痛だけは、「慣れれば治る」症状ではありません。すぐ受診してほしいサイン(記事後半)には必ず目を通してください。
診察室でこの説明をすると、たいていの方の表情が変わります。同じ話を、数字も費用の仕組みも含めて、ここに全部書いておきます。この薬が合う人・合わない人も、後半で正直に書きます。
マンジャロの副作用が不安な方は、まず診察でご相談ください(オンライン予約)
マンジャロの副作用は、実際どのくらいの人に出るのか
まず、いちばん信頼できる数字からお見せします。約2,500人が参加した72週間の国際共同試験「SURMOUNT-1」(New England Journal of Medicine誌、2022年)で報告された、主な消化器症状の頻度です(用量により幅があります)。
- 吐き気(悪心):約25〜33%
- 下痢:約19〜23%
- 便秘:約12〜17%
- 嘔吐:約8〜12%
「3〜4人に1人は吐き気が出る」と聞くと、多いと感じるかもしれません。ただ、大事なのは中身です。報告された消化器症状の大半は軽度〜中等度で、副作用を理由に治療を中止した方は4〜7%にとどまりました。つまり、副作用が出ても、その多くは治療を止めるほどのものではなかったということです。
では、どう付き合うか。まずは「いつ出るのか」からです。
吐き気・下痢は「いつ」出て、「いつまで」続くのか
外来で私が必ずお伝えしているのは、副作用には出やすいタイミングが2つあるということです。
① 打ち始めの1〜2週間
マンジャロは胃の動きをゆっくりにする作用があるため、体が慣れるまでの間、胃のむかつきや食欲不振を感じる方がいます。多くは最初の1〜2週間がピークで、その後は徐々に軽くなっていきます。
② 用量を増やした直後
マンジャロは2.5mgから始めて、体の反応を見ながら段階的に増やしていく薬です。増量した週に、一度落ち着いていた吐き気がぶり返すことがあります。これも体が慣れる過程で起こる一時的なもので、SURMOUNT-1でも消化器症状は主に増量期に集中して報告されています。
50代の会社員の方で、5mgに増やした週末に「食事がほとんど入らなかった」と心配して来院された方がいました。詳しく伺うと、症状が出たのは注射の翌日と翌々日だけ。3日目からは普通に食事が取れていました。「増量直後の2〜3日は無理をしない」と最初から知っていれば、慌てずに済んだケースです。
つまり、「いつまで続くのか分からない」のではなく、「山が来る時期はだいたい分かっている」のです。次は、その山を低くする方法です。
外来で実際に伝えている「つらくならない」5つのコツ
当院でマンジャロを処方するとき、私が診察室でお話ししている内容をそのまま書きます。
1. 「腹八分」ではなく「腹六分」から様子を見る
マンジャロを打つと、少ない量で満腹感が来ます。そこでいつもの量を食べきろうとすると、胃が受け付けずに吐き気につながります。特に注射後2〜3日は、意識して少なめに。「もったいない」より「残す勇気」です。
2. 脂っこいもの・消化の重いものを避ける
揚げ物や脂の多い肉は、胃に残る時間が長く、むかつきの原因になりやすい食事です。注射当日と翌日は、うどん・おかゆ・白身魚・豆腐など、消化のよいものを選んでください。
3. 水分は「こまめに・少しずつ」
下痢や嘔吐があるときに一番避けたいのは脱水です。一度にたくさん飲むと吐き気を誘発することがあるので、一口ずつ、回数を分けて。経口補水液やスポーツドリンクも活用できます。特にいまの季節は、竹ノ塚の駅まで歩くだけでも汗をかきます。下痢や嘔吐に夏の発汗が重なると、脱水は思ったより早く進みます。
4. アルコールは控えめに
お酒は胃の粘膜を刺激し、吐き気を強くすることがあります。少なくとも注射当日と、症状が出ている間は控えるのが無難です。
5. 増量を焦らない
これが一番大切です。「早く効果を出したいから早く増やしたい」というお気持ちはよく分かります。ただ、症状がつらいまま増量しても、続かなければ意味がありません。当院では、症状の様子を診察で確認しながら、増量のペースをお一人おひとりに合わせて調整しています。つらいまま先へ進める必要はありません。マンジャロは「良い習慣作りのきっかけ」として使う薬です。急ぐ必要はまったくありません。
症状が出たときの薬について ── 当院の方針を正直にお伝えします
「吐き気止めを一緒に処方してもらえますか?」と聞かれることがあります。ここは大事なところなので、率直にお伝えします。
マンジャロによる医療ダイエットは自費診療のため、副作用に対するお薬を当院で処方する場合も、保険は使えず自費になります。
そのため当院では、吐き気止め・整腸剤・便秘薬など、ドラッグストアでも取り扱いのある種類のお薬については、ドラッグストアでの購入をおすすめしています。その方が費用を抑えられることが多いからです。店頭では、薬剤師や登録販売者に「GLP-1受容体作動薬(マンジャロ)を使用中で、吐き気(または下痢・便秘)がある」と伝えて相談してください。飲み合わせも含めて案内してもらえます。
ただし、市販薬はあくまで「軽い症状をしのぐ」ためのものです。数日使っても良くならないとき、食事の量が半分以下の日が続くとき、症状が強いときは、我慢せずに診察でご相談ください。診察のうえで、処方(自費)を含めた対応を一緒に考えます。
こんな症状が出たら、すぐに受診してください
ここまで「多くは軽くて一時的」とお伝えしてきましたが、吐き気や下痢と違い、以下の症状は時間が経てば慣れるものではありません。当てはまるときは、様子を見ずに受診してください。
- 激しい腹痛が続く(特にみぞおちから背中に抜けるような痛み)── まれですが急性膵炎の可能性があり、すぐに医療機関を受診してください
- 嘔吐が止まらず、水分がまったく取れない ── 脱水の危険があります
- 便秘が続き、強い腹部の張り・嘔吐を伴う ── まれに腸閉塞の可能性があります
- 右上腹部の強い痛みや発熱 ── 胆のうのトラブルの可能性があります
- 糖尿病のお薬を併用している方で、冷や汗・強い空腹感・ふるえなど低血糖のサイン
- じんましん、顔・くちびる・のどの腫れ、息苦しさが急に現れた ── ごくまれにアナフィラキシー・血管性浮腫が報告されています。注射を中止し、直ちに救急外来を受診してください
「これくらいで受診していいのかな」と迷ったときは、受診していい症状です。夜間や当院の休診時間帯に激しい症状が出た場合は、救急外来の受診をためらわないでください。判断に迷うときは、東京消防庁救急相談センター「#7119」に電話で相談できます。
副作用が不安で、まだ始めていない方へ
最後に、冒頭の「怖くなってしまって」という方への私の答えです。
副作用を必要以上に恐れて、肥満やメタボリックシンドロームを放置することのリスクも、医師としては見過ごせません。一方で、マンジャロは誰にでもおすすめする薬ではありません。当院では、診察で適応をきちんと見極めたうえで、合わない方にははっきりそうお伝えしています。
受診を検討していただきたい方:
- 健康診断で「メタボ」「糖尿病予備群」「脂肪肝」を指摘された方
- BMI(体格指数:体重÷身長の2乗)25以上で、これまで複数のダイエットに失敗してきた方
- 仕事と家庭で時間がない30〜50代の方
- ご家族に糖尿病の方がいて、将来が不安な方
ご自身が当てはまるか気になる方は、診察でご相談ください(オンライン予約)
おすすめしない方:
- BMIが正常範囲(18.5〜25未満)で、健康上の問題がない方
- 「今だけ痩せたい、生活は変えたくない」という方
- 過去に膵炎・胆石症にかかったことがある方
- 妊娠中・授乳中の方
なお、糖尿病ですでに治療を受けている方は、お薬の調整が必要になるため、まずは主治医にご相談ください。
当院は2.5mgの少量から始め、症状を確認しながら無理のないペースで進めます。そして体重が落ちて習慣が身についてきたら、積極的に「卒業」を提案します。副作用と正しく付き合いながら、依存せずに終われる治療。それが当院の方針です。
診察室で口頭でお伝えしていること(おさらい)
初回処方のとき、私が必ず口頭で確認している5点です。
- 吐き気・下痢は、打ち始めと増量直後に出やすく、多くは数日〜2週間、長くても2〜4週間ほどで落ち着いていく
- 大規模試験では消化器症状の大半が軽度〜中等度で、副作用を理由とした中止は4〜7%だった
- 食事を少なめに・消化のよいものに・水分こまめに・お酒控えめ・増量を焦らない、の5つのコツで、多くの方は乗り切れている(個人差があります)
- 市販の吐き気止め・整腸剤・便秘薬も活用できるが、数日使っても改善しない・症状が強いときは我慢せず診察で相談を(当院で処方する場合は自費)
- 激しい腹痛・止まらない嘔吐・強い腹部の張りなどのサインが出たら、迷わず受診を
よくある質問
マンジャロの吐き気や下痢はいつまで続きますか?
打ち始めの1〜2週間と、用量を増やした直後に出やすく、多くは数日〜2週間、長くても2〜4週間ほどで落ち着いていく傾向があります。症状が続く場合は、増量のペースを調整できますので、我慢せずに医師へご相談ください。
マンジャロの副作用はどのくらいの割合で出ますか?
SURMOUNT-1試験(NEJM 2022年)では、吐き気が約25〜33%、下痢が約19〜23%に報告されました。大半は軽度〜中等度で、副作用を理由に中止した方は4〜7%でした。
吐き気止めなどの薬は処方してもらえますか?
マンジャロ診療は自費のため、副作用に対する処方も自費になります。竹ノ塚駅前クリニックでは、吐き気止め・整腸剤・便秘薬などドラッグストアでも取り扱いのある種類の薬は、店頭の薬剤師・登録販売者に相談のうえドラッグストアで購入することをおすすめしています。
すぐに受診すべき症状はありますか?
激しい腹痛(特にみぞおちから背中に抜ける痛み)、水分が取れないほど続く嘔吐、強い腹部の張りと便秘、右上腹部の強い痛みや発熱、糖尿病薬併用中の低血糖症状などが出たら、様子を見ずに医療機関を受診してください。また、じんましん、顔・くちびる・のどの腫れ、息苦しさが急に現れた場合は、注射を中止し、直ちに救急外来を受診してください。
副作用が怖い場合、どのように始めればよいですか?
竹ノ塚駅前クリニックでは2.5mgの少量から開始し、症状を確認しながら無理のないペースで進めます。診察で適応を見極め、合わない方にはおすすめしないことも含めて率直にお伝えしています。
マンジャロはダイエット目的で承認されていますか?
マンジャロ®の国内承認は2型糖尿病治療です。体重管理(医療ダイエット)目的での使用は承認適応外で、自由診療(全額自費)になります。なお同じ成分のチルゼパチドは、肥満症治療薬「ゼップバウンド®」として国内でも承認されています。
竹ノ塚駅前クリニックのご案内
竹ノ塚駅前クリニック内科小児科皮膚科は、東京都足立区・東武伊勢崎線「竹ノ塚駅」東口から徒歩3分の内科・小児科・皮膚科です。「コンビニのように便利に使える」クリニックを目指し、働く世代の方が通いやすい診療体制を整えています。西新井・綾瀬・北千住エリアからもアクセスしやすい立地です。
マンジャロによる医療ダイエットは自費診療で行っており、院長の中島義之が診察のうえ、お一人おひとりの適応を判断しています。副作用が心配な方は、その不安ごと診察室でお聞かせください。なお、お支払いは現金のみとなります。
自由診療に関する重要事項
- マンジャロ®(チルゼパチド)の国内における承認効能は2型糖尿病の治療です。体重管理(医療ダイエット)目的での使用は承認適応外の使用であり、自由診療(全額自費)となります。当院では診察でこの点をご説明し、ご理解いただいた方にのみ処方しています。
- 同じ有効成分(チルゼパチド)は、肥満症治療薬「ゼップバウンド®」として国内で承認されているほか、米国など諸外国でも肥満症治療薬として承認されています(2026年7月時点)。
- 当院では、国内の医薬品卸業者より国内承認薬を仕入れています。
- 適応外使用のため、万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
- 費用の目安:2.5mg 1本 4,500円(税込)〜。用量により異なります(診察料は無料)。最新の費用はマンジャロの料金ページをご確認ください。
- 主な副作用は本文に記載のとおりです(吐き気・下痢・便秘・嘔吐など。まれに急性膵炎・胆のう障害・腸閉塞・併用時の低血糖)。
関連ページ
竹ノ塚駅前クリニック 院長 中島 義之
※本記事は2026年7月時点のエビデンスに基づいています。マンジャロ®(チルゼパチド)の使用は、医師の診察と判断のもとで行ってください。症状の感じ方には個人差があり、本記事の内容はすべての方に当てはまるものではありません。
※本文中の患者さんの例は、個人が特定されないよう複数の方の経験をもとに再構成しています。
参考文献
- Jastreboff AM, et al. Tirzepatide Once Weekly for the Treatment of Obesity (SURMOUNT-1). N Engl J Med. 2022.
- Rubino F, et al. Gastrointestinal tolerability of tirzepatide across SURMOUNT-1 to -4. Diabetes Obes Metab. 2025.
- マンジャロ®皮下注 添付文書・電子化された添付文書情報

