小児新型コロナ感染症
こちらでは小児内科の診察も可能です。小児の新型コロナウィルス感染症についてお伝えします。現在は小児の新型コロナウィルス感染症の方が非常に多く発生しております。生後1か月の赤ちゃんの方もいらっしゃり、今や全ての年齢の子供がコロナウィルスに感染する可能性があります。また典型的な症状ではなく、わずかな症状のことも多いです。みなさんの大切なお子さんのために少しでも小児内科の情報がお役立ちとなればと思います。
当院(発熱外来対応医療機関)では、生後1か月の赤ちゃんでもできる痛くないPCR検査や抗原定性検査を実施しております。
感染源
感染源が不明なことも明らかに多いです。竹の塚エリアに限らず、特に自宅で生活しているだけで出かけるのはスーパーだけ、という方でも普通に陽性になることが増えました。感染源を特定することも困難です。日本小児学会ののデルタ株のデータでは感染源の多くが家族からの感染です。そのためご家族にはお子さんへの注意よりもまず親自身がどれだけ徹底して感染対策をしているかどうかが大事になります。ある研究では①コロナウィルスに感染している人との密接な接触(やはり家族が多いです)、②家庭への訪問者がいる場合、③家庭の人との集まり(何かの行事、他の子供たちとの活動)への参加、また竹ノ塚駅を利用し竹の塚エリア外にまで電車通勤や移動をする際にも感染のリスクが高くなります。学校での感染は出席率は関係ないようですが、しっかりと皆がマスクをしていることが感染予防に大事との報告があります。逆にお子さんからご両親に感染がうつる例も多数報告されております。
症状
小児の新型コロナウィルス感染症の症状は大人と似ています。無症状の感染者の割合は15〜42%と推測されています。オミクロン流行期では10%ほどと報告があります。実際に症状があるお子さんとしては以下のものが多いようです。
0〜9歳の小児の症状
- 熱、せき、息切れ(63%)
- 発熱(46%)
- せき(37%)
- 頭痛(15%)
- 下痢(14%)
- のどの痛み(13%)
- 筋肉痛(10%)
- 吐き気、嘔吐(10%)
- 嗅覚障害、味覚障害(1%)
10〜19歳までの症状
- 熱、せき、息切れ(60%)
- 頭痛(42%)
- せき(41%)
- 発熱(35%)
- 筋肉痛(30%)
- のどの痛み(29%)
- 息切れ(16%)
- 下痢(14%)
- 嗅覚障害、味覚障害(10%)
また、胃腸症状(嘔吐、下痢、腹痛)が呼吸器症状を伴わずに起こることもあります。このことから当院では嗅覚味覚障害に加えて、胃腸症状がある場合にも積極的にPCR検査や抗原検査を実施するようにしています。まれに心臓や神経に異常をきたしけいれんをすることもあります。
そのほか、新型コロナウィルス感染症にかかってから1~10週間してから発熱や胃腸症状、発疹、結膜充血、ショック状態となる病気(小児多系統炎症性症候群)という病気が非常に稀ですが報告されています。
赤ちゃんにおいては食欲が落ちている、原因のわからない熱、の場合に注意が必要です。呼吸器の症状がほとんどないことがあるからです。呼吸器症状があっても鼻水だけ、など咳があまり目立たない事も多いようです。小児科・内科標ぼうの医療機関の発熱外来対応にて相談が必要となります。
検査
現状症状に典型的なパターンがないため医師が診察だけで新型コロナウィルス感染症と診断するのは極めて困難です。そのため当院では積極的なPCR検査や抗原検査が必要だと考えています。5類感染症となり、保険診療で検査ができるのは症状がある方に限られます。足立区竹の塚の地域に限らず、東京都の方は乳児医療証があれば全額無料での検査となります。濃厚接触で心配、など症状がない場合には全例自費で10,000円かかります。
生後間もない赤ちゃんからPCR検査は実施することができます。鼻腔検査といい、鼻から1cmほどしか入れず検査ができますので痛みはありません。クリニックによっては奥まで綿棒を入れるところもあるかと思いますが、現状は鼻腔での検査でよいと言われています。PCRについてはこちら。
重症度
小児においても重症例や死亡例が報告されています。多くは無症状であったり、軽症、中等症で、発症から1〜2週間以内に回復するようです。海外の論文データによると新型コロナウィルス感染症関連の死亡率は0.17/10万人です。オミクロンではより軽症で死亡率が低い可能性がありますが、現状のデータでは科学的根拠はまだそろっていません。お子さんの重症例が少ない理由についてはさまざまな説が出ていますがまだわかっていません。現状わかっている重症しやすいリスクは以下の場合です。
- 2歳以下の小児
- 肥満
- 糖尿病
- 喘息またはその他の慢性肺疾患
- 複雑な病気の方
- 遺伝性の病気
- 神経の病気
- 代謝の病気
- 先天的な病気
- 鎌状赤血球症
- 免疫抑制剤を使用している方
治療
12歳以上で使用できるコロナの治療薬はありますが、当院では重症化のリスクが複数ある場合に限って処方を行っております。重症化リスクがなくても使用できるゾコーバという薬もありますが、こちらは重症化の予防効果が証明されていないことから有効性が乏しいと当院では考えており処方を行っておりません。したがってコロナに感染している場合にゾコーバを処方希望される場合には最初から他院で検査をしていただくことをお勧めします。
感染予防
竹ノ塚駅前クリニック内科小児科皮膚科では、感染予防のためには成人と同様、複数の感染対策を以下に毎日徹底してできるかどうかが重要と考えております。他人はコントロールできませんので、ご自身が感染しないように自分にできることをやっていくしかありません。まずは親が手本を見せてあげましょう。
ワクチン接種:感染予防効果が明らかですのでできるだけ接種しましょう。生後6か月以上の方は足立区では予防接種が可能です。当院では現状新型コロナウィルス感染症のワクチン接種は行っておりません。足立区のHPからご確認ください。
マスクの徹底:他の人が2m以内にいる場合では常にマスクをつけましょう。不織布マスクを使用しましょう。フェイスシールドやマウスシールドではマスクの代わりにはなりません。
手洗い:外出中も自宅でも手洗いをしっかりしましょう。人は1時間に23回自分の顔を触っているというデータもあります。何かをしたら手を洗う、またはアルコール消毒を習慣にしましょう。携帯電話も同様で手すりやドアノブなどを触った手でそのまま携帯電話を触らないようにしましょう。携帯用アルコール消毒を持つようにしましょう。
換気:できるだけ換気を行いましょう。自宅の場合には1、2時間ごとに5〜10分換気するとよいです。電車内など密な場所ではなるべく自主的に換気を行ってください。
環境消毒:1日1回、ドアノブ、テーブル、てすり、スイッチなど手のよく触れるところを100倍希釈した家庭用洗剤で拭き掃除しましょう。1日1〜2回手のよく触れるところを薄めた漂白剤(0.05%次亜塩素酸ナトリウム水溶液)または、アルコールを含んだティッシュで拭きましょう。ただ、次亜塩素酸ナトリウムは薄めても手には使わないようにされてください。
密回避:1密(密閉、密集、密接)でもリスクがありますので気をつけましょう。換気の悪い密閉空間(車の中も含みます)、たくさんの人が集まる密集場所、近距離で会話や発声をする密接場面を避けましょう。食事は黙食でなるべく会話を避けましょう。
参考文献
新型コロナウィルス感染症都民向け感染予防ハンドブック 東京都感染症情報センター