ピル・月経移動
ピルとはエストロゲンとプロゲステロンというホルモンが含まれる飲み薬のことです。ピルに含まれるホルモンの成分量によって高用量、中用量、低用量、超低用量ピルに分けられます。一般的にいうピルは低用量か超低用量ピルのことです。ピルは毎日飲んで排卵を抑えることができる効果の高い避妊薬です。避妊以外にも様々な効果があり女性の健康を守るために大事な薬です。女性主体の効果的な避妊法ですし、病気の予防もできます。よく知っておきましょう。竹の塚エリアにございます当院で処方できるピルは自費のみです。医療保険でのピル処方はできませんのでご了承ください。
効果
ピルによる避妊効果として、排卵をストップさせます。また子宮に精子が入りにくいようにさせる効果もあります。避妊の効果はパール指数で語ることが多いです。パール指数とは100人の女性がある避妊法を1年間下場合の妊娠数(避妊の失敗数)のことです。理想的にしっかり毎日守って飲んだ場合のピルのパール指数は0.2、つまり1年間ピルを飲んで1000人に2人が妊娠するぐらいで非常に効果が高いです。しかし実際には飲み忘れなどもあるため、パール指数は8ぐらいだと言われています。コンドームの場合には理想的な使い方で2、普通の使い方だと15ぐらいと言われているため非常に効果が高いことがわかります(しかし逆に考えるとピルを飲んでもこのように妊娠することがあります。そしてピルには性感染症予防効果はありませんので必ずコンドームをするようにしましょう)。
他に生理痛や月経不順の改善、PMS(月経前症状)の改善につながります。また子宮内膜症という病気の予防効果もあります。その他ニキビの改善や、出張や旅行などの大事なタイミングに生理が来ないようずらすことができます。
ただ、ピルをずっと飲んでいればずっと生理が来ないという訳ではありません。ずっと飲んでいるといずれ生理がきてしまいます。そのため休薬期間を作ってその間に生理が来るようにします。生理もピルを飲んでいるとかなり楽になります。大体21日薬を飲んで7日休む(または偽の薬を7日飲む)リズムで飲みます。
ピルを飲んでいるのに生理が2回来ない場合にはむしろ妊娠検査を検討しなければなりません。
種類
ピルには大まかに21錠タイプと28錠タイプがあります。21錠タイプは21日飲んだら7日休みます。また28錠タイプでは21日飲んだら7日偽薬を飲みます。当院で取り扱いがあるのは28錠タイプの1種類だけになります。
商品名は医療広告ガイドライン違反となるため掲載することはできませんがこちらのリンク先が取り扱いの低用量ピルとなります。
月経移動の場合には上記リンクまたは中用量ピルのこちらを用いて行います。
ピル市販薬で薬局では販売していません。今後は薬局で購入できる時代が来ると思います。
費用
当院でのピル処方は1ヶ月(28日)分処方で診察代、薬の料金を含めて税込3,500円になります。
またピルの採血をご希望の場合には税込7,500円になりますが一般的にはルーチンの採血は必要ありません。
月経調整のためのピル処方については薬代、診察代を含めて税込4,300円になります。
内服方法
タイミング
飲み始めのタイミングは生理が始まって5日以内から開始するようにしましょう。これは妊娠していないことが確実な時期から飲む必要があるからです。
毎日1錠薬を飲むのですが、一日のうちいつ飲んでいただいても構いませんが、毎日同じ時間帯に飲むようにしましょう。ホルモン製剤なのでリズムをつけるのが大事です。そのため忘れないように携帯でアラームを毎日セットすることをお勧めします。
ピルは飲んで1週間ほどで避妊の効果が出てきます。それまでは他の避妊法を必ず使うようにしましょう。
飲み忘れた場合
1日飲み忘れた場合
飲み忘れに気がついた時点で飲み忘れ分の1錠を飲んでもらい、いつもと同じ時間帯で当日1錠飲むようにしましょう。次の日からは普段通りに飲みます。
2日以上飲み忘れた場合
同様に飲み忘れに気がついた時点で1錠を飲んでもらい、いつもと同じ時間帯で1錠を飲むようにしましょう。翌日以降はいつもと同じ時間に飲むようにしましょう。ただし、2日以上飲み忘れた場合には避妊の効果が弱くなりますので、7日連続で薬を飲むまでは必ず他の避妊を一緒に使うようにしましょう。
月経調整
ピルを飲んでいない方の場合には以下のようにします。月経調整の方法は内服開始から予定日までの日数によって変わります。できれば生理の予定を早めた方が確実であること、低用量ピルの方が副作用は少ないので早めに相談していただいた方が良いです。当院での具体的なずらし方は以下になります。
予定日まで5〜14日の場合
生理を遅らせます。具体的には中用量ピルを予定が終わるまで飲み続けます。始まりそうなら2錠に増やす必要があるので当院に再度来院頂きます。
予定日まで14〜20日の場合
生理を早めます。具体的には中用量ピルを7〜10日内服して、その後薬がなくなると数日で生理が始まります。
予定日まで21日以上の場合
生理を早めます。具体的には低用量ピルを14日間内服して、その後薬がなくなって数日で生理が始まります。
副作用
頻度の高い副作用
起こりやすい副作用としては不正出血(12%)、吐き気(7%)、頭痛(4%)、むくみ、眠気などがあります。こういった副作用は軽ければそのままピルを飲んでいると3ヶ月以内に無くなることが多いのであまり心配しなくて大丈夫です。ただ、副作用がつらいくらい強い場合や3ヶ月経ってもまだ続く場合には薬を変更します。薬の副作用で足のむくみが出ることはありますが、太ることはありません。また、ピルを飲むのをやめたら、妊娠できます。不妊のリスクにはなりませんので安心して使えます。
重要な副作用
重症な副作用として血栓症という病気があります。血管の中に血の塊(血栓)ができる病気です。身体のどこにでも血栓ができる可能性がありますが、足が特に頻度としては高く、昔でいうエコノミークラス症候群という病気です。血栓は1箇所だけ起きることが多いので、片足だけむくみが出る時や片足がすごく痛む時には血栓症を考えて検査をしないといけません。
しかし、血栓症ができる確率はピルを使用している人で1万人に3〜9人ぐらいで非常にまれです。実際には下記のように妊娠中や出産後の方が血栓症のリスクが高いのです。
1年のうち、1万人の中で血栓ができる確率 |
|
ピル未使用 |
1〜5 |
ピル使用 |
3〜9 |
妊娠中 |
5〜20 |
産後 |
40〜65 |
禁忌
ピルは初経(初めての生理)が始まり、生理周期が安定してきたら使うことができます。中学生のお子さんでも我慢せずに使用をご両親と検討しましょう。ピルの使用が禁止されている(禁忌)方は以下の通りです。
- 50歳以上の方
- 喫煙 35歳以上で、1日15本以上の喫煙者
- 高血圧 血圧160/100mmHg以上の方
- 片頭痛 目の前がチカチカするなどの前兆を伴う片頭痛の方
- 母乳栄養 出産後6週間以内
- 糖尿病 腎臓、眼、神経障害などの合併症や20年以上患っている方
- 心臓病 虚血性心疾患や心房細動など
- 脳梗塞
- 肝臓の病気 肝硬変や肝腫瘍のある方
- 乳がん、子宮内膜がん、子宮頸がんがある、またはその疑いがある方
- 手術予定 手術時間が長い手術予定が1ヶ月以内にある方、手術後2週間
よくある質問
一緒に内服してはいけない薬はありますか?
絶対に併用してはいけないのは抗ウィルス薬の一部(HIVの薬)です。
また絶対に併用してはいけないわけではありませんが、多くの抗てんかん薬、一部の糖尿病の薬、一部の抗生物質(テトラサイクリン、アンピシリン)、一部のうつの薬は薬の効果に影響が出るため注意が必要です。
保険適用になりますか?
残念ですが当院では保険での治療は行っておりません。また、避妊目的で保険適用になるピルはありません。
飲酒しても良いですか?
ピル服用中でもお酒は特に問題ありません。
出産後すぐ内服できますか?
出産後にお母さんが排卵を開始するのはおっぱいをあげているお母さんで73日、ミルクだけのお母さんで25〜27日と言われています。そのため出産後から避妊には注意が必要です。出産後しばらくは血栓症を起こしやすいこともあり、出産後しばらくは飲んではいけません。出産して6ヶ月経ってから飲み始めるようにしましょう。
以上になります。最初はご不安かも知れませんがピルは効果や注意点を知っていればほとんどの方で安心して内服できる薬です。大事な体を守るために、竹ノ塚駅東口から徒歩3分にございます当院にて、ぜひご相談ください。理解できるように丁寧に説明させていただきます。