尿道炎
尿道炎は、細菌感染が尿道に起こる炎症で、外部から膀胱へつながる尿道が影響を受けます。特に男性では、ペニス内の尿道が痛みを伴い、赤く腫れることがあり、膿が出ることもあります。本記事では、男性の尿道炎に焦点を当てて解説します。
一方、女性の尿道炎は、感染が女性器に広がる可能性があるため、婦人科の専門的な判断が必要です。そのため、当院ではなく、婦人科を受診して相談されれてください。
原因
尿道炎の原因は大抵は感染症が原因です。特に多いのは性感染症の原因菌です。性感染症の原因菌として代表的なものが淋菌、ついでクラミジアが多いです。その他にどちらの検査をしても原因がわからないバイ菌(非淋菌非クラミジア感染症といいます)としてウレアプラズマ、マイコプラズマジェニタリウムやトリコモナスという菌もあります。ただ、厄介なことに1回の検査で全ての菌が調べられるわけではないことや、どんなに調べても原因がわからないことも多いため治療に苦労することもあります。また尿道炎にかかった=性病というわけではありません。他の原因で感染することもあります。
例えば、一部刺激の強いせっけんの使用や自慰行為を繰り返しているうちに尿道の皮がめくれたりすることで炎症が起こることはあります。しかしそういったことが原因と断定することは難しく、診断が難しい感染症による原因を徹底的に評価する必要があります。
症状
尿道炎の症状は主に、排尿時の痛み、かゆみ、焼けるような感じ、血尿や尿道から膿が出る、というものです。ご自分で尿を出す時に膿が出たことがなくても診察室でペニスを押すようにして初めて膿が出ることもあります。しかし淋菌による尿道炎のうち5〜10%、淋菌以外のバイ菌による尿道炎の場合には42%に特に自覚症状がないことが報告されています。このように自覚症状がない場合の尿道炎の検査は、残念ながら国の保険の決まりで自費でのみ検査できます。
原因菌として淋菌とクラミジアが有名ですのでその違いについてですが、淋菌の場合には膿が尿道から出ることが多いです。また、クラミジアの場合には膿は余り出ず尿が出にくい、痛みだけ、ということが多いです。しかしどちらもそれだけでは決定することができないため検査が必要になります。場合によっては両方に感染していることもあります。
また、痛みを伴うペニスの傷(性器潰瘍)を伴う排尿時痛の場合にはヘルペス(性器単純ヘルペス、HSV)の可能性があります。しかし傷がないこともあるため診断が難しいこともあります。ヘルペスに初めて感染した患者さんの症状としては、発熱、鼠径リンパ節(股の付け根にあるリンパです)のはれや痛みが出ます。
尿道炎の一部では反応性関節炎と言って関節痛や結膜炎、胃腸症状、口内炎もできることがあります。
診断
尿の検査で調べます。結果はすぐには出ず3、4日ほどかかります。それでも原因がわからない場合にはバイ菌を増やす検査を1週間ほどかけて行うこともあります。
治療
治療は抗生物質で行います。しっかりと医師から指示された内容で抗生物質を使用しましょう。
ただ、淋菌やクラミジアが原因の場合には治療が終わっても1回の抗生物質の治療では完治していないことがあり、治療終了して1ヶ月ほどして再検査をする必要があります。これは症状が良くなったとしてもバイ菌が残っていることもあるので症状の有無に関わらず検査を受けるようにしましょう。こちらの検査は自費になりますが必要な検査です。
再検査について
上記の治療後の検査は今回の感染症が治癒しているかどうかを調べるものです。それとは別に淋菌やクラミジアは再感染するリスクが高いため治療から3ヶ月経過したらまた検査を受けることをお勧めします。この場合の検査は自費になります。
感染性
人にうつすことがあり、少なくとも治療を開始して7日間、かつ症状がなくなるまでは性交渉は控えましょう。
感染予防
尿道炎のうち、性感染症に夜ものは予防がある程度できます。性行為にはコンドームを使用しましょう。またパートナーにかゆみや痛み、膿が出るなどの症状がある場合は性行為を避けましょう
以上が尿道炎になります。非常に不安で辛いと思います。当院は泌尿器科専門ではありませんが、尿道炎の患者さんをたくさん治療しており経験豊富ですので安心してぜひご相談ください。