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インフルエンザ

冬になると毎年話題になるインフルエンザ。インフルエンザは、インフルエンザウイルスが原因で起こる季節性の感染症で、主にA型とB型が流行を引き起こします。「ただの風邪」と軽く考えられがちですが、症状や感染力、そして重症化のリスクについては、多くの誤解や疑問があるようです。
この記事では、竹ノ塚駅前クリニックの医師として、インフルエンザの潜伏期間や人にうつしてしまう期間、典型的な症状から注意すべきサインまで、医学的根拠に基づいて詳しく、そして分かりやすく解説します。インフルエンザに関するよくある疑問を解消し、ご自身と大切なご家族を守るための一助となれば幸いです。

インフルエンザワクチン

 

原因

インフルエンザはウイルス感染によって引き起こされます。インフルエンザウイルスには大きく分けてA、B、C、Dの4つの型があります。
• A型・B型: 人の間で季節的な流行を引き起こす主な原因です。
• C型: ほとんどの人が免疫を持っており、感染しても軽い症状で済むことがほとんどです。
• D型: 主に牛に感染するウイルスで、人に感染することは稀とされています。
そのため、私たちが毎年警戒すべきなのはA型とB型なのです。
 
• A型ウイルス: ヒトだけでなく、鳥や豚などの動物にも感染します。ウイルスが変異しやすく、時に「鳥インフルエンザ」や「豚インフルエンザ」のように、世界的な大流行(パンデミック)を引き起こす可能性があります。
• B型ウイルス: 主にヒトからヒトへと感染します。A型のようなパンデミックは引き起こしませんが、毎年の季節性インフルエンザの流行の原因となります。
インフルエンザウイルスは、毎年少しずつ形を変える(抗原変異)という厄介な性質を持っています。そのため、一度インフルエンザにかかって免疫ができたとしても、翌年にはまた新しい型のウイルスに感染してしまう可能性があるのです。
 
感染経路
インフルエンザは非常に感染力が強く、主に以下の2つの経路で広がります。
• 飛沫感染: 感染している人の咳やくしゃみ、会話などで飛び散るウイルスを含んだ飛沫(しぶき)を、周囲の人が吸い込むことで感染します。インフルエンザの粒子は非常に小さく、思った以上に遠くまで飛散して感染を広げる可能性があります。
• 接触感染: ウイルスが付着したドアノブ、手すり、電車のつり革などを触った手で、自分の口や鼻、目に触れることで、粘膜からウイルスが侵入して感染します。

 

症状

インフルエンザは、潜伏期間を経て、熱、頭痛、筋肉痛、だるさなどの症状が突然出てきます。それに咳、喉の痛み、鼻水がそれに加わってきます。インフルエンザの特徴はこの症状の出方が急なことです。患者さんによっては症状が出た時間を正確に思い出されることもあります。熱は、37.8〜40.0度が多いですが、人によっては41.1度まで上昇することもあります。発熱は大人よりも子供に多いです。しかし、インフルエンザはこういった熱、喉の痛み、風邪症状がないこともあります。特にご年配の方の場合、食欲がない、だるい、めまいなどの症状だけのこともあり注意が必要です。人によっては嘔吐下痢などの胃腸症状があります。

 

潜伏期間と感染期間(うつる期間)

「いつからうつるの?」「家族にうつさないためには?」といった疑問は、患者さんから最も多く寄せられる質問の一つです。正確な知識を持つことが、感染拡大を防ぐ鍵となります。
 
潜伏期間
インフルエンザウイルスに感染してから、症状が現れるまでの期間を「潜伏期間」と呼びます。
• 潜伏期間は、平均して**2日間(1〜4日の範囲)**です。
この期間は症状がないため、本人は感染に気づかずに日常生活を送っていることがほとんどです。
 
他の人にうつす可能性のある期間
インフルエンザが他人に感染する力を持つ期間は、多くの方が考えているよりも長いです。
• 症状が出る前からウイルスを排出しており、他人にうつす可能性があります。これは多くの方が誤解している点であり、非常に重要です。
• 感染力は、症状が現れてから最大で7日間続くことがあります。
熱が下がった後も、ウイルスはしばらく体内に残っているため、油断は禁物です。

 

検査

インフルエンザの検査は鼻の検査になります。検査結果は10分ほどでわかります。しかしインフルエンザウィルス量がある程度増えないといけないため、症状が出てから24時間以内ではうまく検査に出ないことがあります。また、症状が出てから72時間すぎるとうまく検査で引っかからないこともあります。ただ、状況によっては検査をしなくてもインフルエンザがほぼ間違いない状況になります。具体的にはインフルエンザの人と数日以内に接触があり、38℃以上の発熱と咳を認め、診察で疑う所見があれば検査は必要ないと思います。

 

治療

インフルエンザの治療薬といえば、抗インフルエンザ薬です。症状が出てから48時間以内で効果を発揮します。そのため症状が出てから受診までは早めにするようにしましょう。治療効果としてはインフルエンザの症状の期間を半日〜3日短くすることができると言われています。特に、症状が出てから1日ほどの方、発症時に発熱が合った方の場合には効果が期待できます。逆に言うとインフルエンザの人でも全ての人が薬を飲んだらすぐ良くなるとはいえないという側面もあります。医師から一方的に治療を押し付けるのではなく、患者さんとこういったリスクも含めて相談して治療を決定します。治癒までの期間としてはおおよそ2〜5日で良くなります。ただ、人によっては1週間以上症状が続くこともあります。一部の患者さんではだるさや疲れやすさが数週間続くこともあります。これをインフルエンザ後無力症と言われています。

 

出席停止期間(隔離期間)と職場復帰の目安

インフルエンザは、熱が下がってもウイルスを排出している可能性があるため、学校や職場への復帰には定められた基準があります。これは自分だけでなく、周りの人を守るために非常に重要です。
学校保健安全法では、インフルエンザの出席停止期間について以下のように定められています。
「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで」
これは少し分かりにくいかもしれませんね。具体例で説明します。 月曜日に38℃の熱が出て「発症」したとします。まず「発症後5日」なので、火・水・木・金・土の5日間が経過する日曜日以降でなければなりません。 さらに、木曜日に熱が下がった(解熱した)とすると、「解熱後2日」なので、金・土の2日間が経過する日曜日以降でなければなりません。 このように、両方の条件を満たす必要があります。この例では、最短で日曜日に登校(出勤)が可能になります。
社会人の場合は法律での明確な規定はありませんが、感染拡大を防ぐ観点から、この基準に準じることが多くの企業で推奨されています。最終的には勤務先の就業規則を確認してください。

 

注意点

重症化のリスク

インフルエンザの風邪と違うところは重症になることがあるところです。人によって肺炎、心筋炎、心筋梗塞、脳炎、髄膜炎、筋炎などを起こすことがあります。稀に死亡することもあります。死亡率は0.1%程度です。以下の方は重症化するリスクが高いです。

  • 65歳以上の方
  • 妊娠中または出産2週間以内の女性
  • 長期間入院している、施設に入っている方
  • 極度の肥満(BMI40以上)の方
  • 慢性心臓病、慢性肺疾患、慢性腎臓病、免疫不全の方
  • ステロイドなど免疫抑制剤を使っている方

これらの方はできるだけインフルエンザの予防接種も受けるようにしてください。治療も積極的に行います。特に妊婦の方はその自覚がなくインフルエンザワクチンが妊婦によくないという誤解がありますがぜひ予防接種を受けるようにしましょう。

使用を避けた方がいい薬について

インフルエンザにかかっている時で、お子さんにはアスピリンを使ってはいけません。脳症を起こすことがあると報告されているからです。またロキソニン、ボルタレンやポンタールも避けた方が良いとされています。大人では特に使用を避けた方がよい薬はありません。

入浴について

お風呂は入ってもらって構いません。しかしいつもより疲れやすいのでお風呂も体力を使うのであまり無理をして入らなくていいと思います。また、お子さんなど感染している子と一緒に入るとご家族も感染のリスクが高まると思われます。

 

感染予防対策

一番はインフルエンザワクチンです。確かにインフルエンザワクチンは効果が高い年と低い年があります。しかしインフルエンザ予防接種には感染予防に加えて、重症化を防ぐ役目もありますのでぜひ注射をするようにしましょう。当院では4,200円となります(フルミストは8,800円、す)。またせっけんと水でよく手を洗いましょう。病気の人にはなるべく近づかないようにしましょう。

また、すでにご家庭にインフルエンザの患者さんが出た場合、最初の発症から3〜4日後に他のご家族が発症するケースが多く見られます。家庭内での感染拡大を防ぐためには、以下の対策を徹底しましょう。
• こまめな手洗い: 石鹸と流水で、指先や指の間、手首まで丁寧に洗いましょう。アルコール消毒も有効です。
• マスクの着用: 感染者も、看病する家族も、家の中ではマスクを着用することが重要です。
• 部屋を分ける: 可能であれば、感染者は別の部屋で過ごし、家族との接触を最小限にしましょう。
• 換気: 1〜2時間ごとに窓を開け、部屋の空気を入れ替えましょう。
• タオルの共用を避ける: タオルや食器、歯ブラシなどの共用は避け、個別に管理してください。

 

いかがでしたでしょうか?インフルエンザは風邪の延長で終わることが多いですがこのように重症になることがあります。効果的な検査のタイミングや治療のタイミングがありますので竹ノ塚駅にございます当院の内科で相談ください。

※足立区の方(竹の塚エリア含む)の高齢者インフルエンザ予防接種も実施しております。区から届いた問診票をお持ちいただければ無料で実施します。

※足立区の方の任意小児インフルエンザワクチン予防接種問診票をご持参の場合には注射の場合には金額は1回あたり1,200円、フルミストは2,800円となります。

 

竹ノ塚駅前クリニック内科小児科皮膚科

121-0813
東京都足立区竹の塚6-11-1 T・キューブ1階

東武伊勢崎線「竹ノ塚駅」東口3分

参考資料

インフルエンザ(総合ページ) 厚生労働省

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