メニュー

風邪

そもそも「風邪」とはどういうことを指すのでしょうか?一般的には熱が出て、のどが痛い、などがイメージかと思います。医学における風邪とは「ウィルスが原因でおこりせきやな水、のどの痛みが出る病気で自然によくなるもの」と定義されています。実は「自然とよくなる」ことが風邪の条件に含まれています。

 

原因

風邪はウィルスが原因です。一般的に一度かかったウィルスには同じ風邪にならないように体が勉強すると再びかからないと言われています。ただ風邪はたくさんの種類のウィルスが原因で起こるので、一度かかってその風邪ウィルスに対して免疫が出来ても他の風邪ウィルスにかかって風邪をまた引いてしまうことがあります。海外のデータでは大人では1年に2、3回、子供では1年に10回ほど風邪を引くと報告されています。子供は大人ほどたくさん風邪の勉強をしていないので風邪を引きやすいのです。

感染経路としては風邪の人を直接触ったり、風邪の人のせきやくしゃみ、鼻水でうつります。基本的にはキスではうつらないとされていますが、近距離での接触なのでウィルスを触ってうつることはあります。

 

症状

典型的な風邪の症状は発熱、のどの痛み、だるさから始まります。その後少し遅れて鼻水が出て、最後にせきが数日遅れて出てくることが多いです。のど、鼻水、せきが3つとも同じ程度の強さで症状が出ている場合はほぼ風邪だろう、と話を聞いた段階で考えています。ただ症状やその強さは人によってバラバラで同じウィルスでも全く症状が異なりますのでそうでなければ風邪ではない、とはなりません。

 

検査

基本的に風邪に検査は必要ありません。しかし診察の所見によっては他の病気を否定するために溶連菌やインフルエンザ、新型コロナウィルス感染症のPCR検査が必要になる可能性があります。これらの検査は検査結果によって治療薬が必要になったり、社会的に隔離が必要になるため調べることがあります。

当院でできる検査としてはインフルエンザ、溶連菌、マイコプラズマ、RSウィルス、ヒトメタニューモウィルスがあります。RSウィルスは風邪でよくあるウィルスですが、1歳未満では重症になることがあります。そのため1歳未満の場合は保険適応で検査をすることができますが、1歳以上の場合には保険での検査を行うことはできません。どうしてもRSウィルスを1歳以上で検査したい場合には保険診療と自費診療を一緒に行う混合診療は認められていないため、診察料も全て自費になります。インフルエンザや溶連菌、マイコプラズマは医師が問診や診察でその疑いがあった場合には保険で検査をすることができます。

 

診断

診断は問診、診察、場合によって検査を行い、総合的に判断します。新型コロナウィルス感染症が流行しているためのどの診察は医療従事者への感染のリスクを考えて行わないことがありますのでご了承ください。

 

治療法

風邪の特効薬はありません。よくある抗生物質は残念ながら風邪には効果がないのです。自然に治る、が風邪の定義なので風邪はウィルスに対して免疫力を自分の体で身につけることで回復しています。従ってよく病院で出される風邪薬は風邪ウィルスをやっつける作用があるわけではなく、今ある症状を楽にするために出されています。抗生物質は風邪の時に頻繁に使っていると将来的に抗生物質が効かなくなる可能性があります。世界的な会議でも抗生物質が頻繁に風邪に使用されていることが問題視されており、将来はガンで亡くなる人より抗生剤が効かなくなって死ぬ人の方が多くなると言われています。なので必要な病気の時に使うようにしましょう。風邪と似た症状を出す病気で抗生物質が必要になるのは一部の扁桃炎、一部の中耳炎、蓄膿(副鼻腔炎)、肺炎の時です。

治癒期間(風邪が治るまでの期間)は人それぞれですが、平均して大人で5日、子供で10日で治ります。ただ人によっては2週間ほど続いたり、咳だけ1ヶ月ほど続くことがあります。

 

よくある質問

高熱だから重症なの?

ご自身は熱が高い方がぐったりしますし、息もやや荒くなってつらいと思います。ただ、熱は体が風邪ウィルスをやつけるために出している、いわば防御反応です。そのため熱が高いからといって重症というわけではありません。

熱さましの薬は使った方がいいの?

熱が高くてつらい時は無理せずに熱さましを使うようにしましょう。ただ熱さましの薬は熱を下げる作用の薬であって、風邪ウィルスをやつける作用はありません。なので熱があったら必ず熱さましを使う必要はありません。

風邪の時に自宅でした方がいいことは?

基本的に効果が証明されている治療はありません。亜鉛やビタミンをとった方が良い、という報告もありますが、有効性はイマイチのようです。自宅で水分をしっかりとってゆっくり休むようにしましょう。食事は摂れそうであればとっていただきたいのですが熱でぐったりして動けないのであればあまり無理をしないでください。

どういう時にクリニックに行ったらいいの?

風邪かどうかは症状だけでなく医師でも確認のためにのどの診察をしたりしています。そのためこうであれば必ず風邪、とは診察なしには言えません。なのでご不安だと思いますので無理をせず診察を受けるようにしてください。

また、胸の痛みや息苦しい時やせきがひどい時、寒くてガタガタ震えが止まらない時、ご年配の方、赤ちゃん、喘息など肺の病気がある方などは自宅で様子を見ず早めに受診するようにしてください。普通の方より風邪が悪化しやすいです。

1度当院に風邪でかかった方でまだ良くならない方や症状が悪化してきた方は早めに再度受診してください。

 

いかがでしたでしょうか。

自然と良くなる、としても本当に風邪なのか不安だと思います。

無理せずお気軽に当院で相談ください。

 

参考資料

厚生労働省 抗微生物薬適正使用の手引き 第2版

小児科向けですが院長の動画も参考にどうぞ

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME